2019年05月21日

べテスタの自慢話!| 社会福祉法人ベテスタ こいしろの里(三重県 松阪市)

べテスタの自慢話!
これは、不登校であった少年が一般就労まで上り詰めたエピソードです。
彼の母親が本人の状態が気になり、あすなろ学園を受診した結果、2016年3月に自閉症スペクトラム(ADHD)と診断されました。
彼は、2013年4月に三重県内の中学校に入学しましたが、2ヶ月経った頃から宿題やテスト勉強に全く手をつけられず不登校になってしまいました。母親はどうしたらいいのか学校の教員へ相談した結果、12月から不登校支援が受けられる岐阜県の全寮制中学校へ転入しました。転入当初より様々な問題はありましたが、学校の教員の支援を受けたことにより無事卒業することができました。
卒業後の進路として、自宅で過ごしたい!自分の能力ならばこの高校は行けるはず!という想いがあったため、2016年4月に松阪市内の商業高校に合格することができました。入学当初は学校へ通うことができていましたが、しばらくすると彼の心の中に「なぜ、学校へ通わなくてはいけないのか。何のためになるのか」という思いが芽生え欠席しがちに、そしてとうとう高校生活も2016年9月よりまったく通うことが出来なくなり、不登校の状態になりました。
そんな彼を心配した母親は様々な相談機関へ相談に行きましたが、彼に対しての支援をしてくれた場所はありませんでした。母親は藁にもすがる思いで最後に2017年11月社会福祉法人ベテスタに辿り着いたのです。
当法人は知的障害者の入所施設であり、ADHDに対する知識が少なく、適切な支援をすることができるのか不安がありました。そこで彼のためにと想いADHDに対する専門機関である「発達支援センターれんげ」を紹介し支援していただくようにしました。しかし、2018年3月になっても発達支援センターれんげからは具体的な支援方針がなく対応されていなかったため、何度か行政も加わっていただき、サービス担当者会議を開催しました。発達支援センターれんげの担当者からは「現状では支援できない」と言われました。そのため、当法人が中心となり各関係機関や保護者へ連絡をとり、彼の総合的な支援の方向性の模索を行いました。当法人は彼と定期的な面談を通して、彼にはある想いがあることわかりました。その想いとは《将来的な自立のために働いてお金を稼ぎたい》という希望です。
こうして、2018年10月より社会福祉法人ベテスタの就労移行支援を利用し始めました。
長期間にわたり不登校であったため、彼も目的がないと通えず、決められた日時に事業所に通うことが難しい状態が続きました。そこで、彼の様子の変化を見ながら、生活リズムの安定や一般就労に向けた支援を行いました。就労移行支援を利用し始めた頃は、決められた日の決められた時間に通うことがほとんど出来ず、その度に当法人の職員から彼へ社会で自立して生きていくために必要なことを習得していただこうと、厳しく注意することが多々ありました。
そして、就労移行支援を利用し始め当法人の職員や他の利用者との関わり合い、作業などを通して、彼の考え方や想いが変わり始めたのです。「自分で何でも出来ると思い込んでいたが、自分には出来ることと出来ないことがある」ということを理解したのです。
こうして、家族や当法人の支援を受けながらも決められた時間に起床し休まずに事業所に通うことができるようになってきました。一時は三重県障がい就職センターによる、職業訓練評価である最初に行われる検査のヒアリングに答える意欲すら見せなかったことから、能力や適合性を評価すらできませんでした。また、発達支援センターれんげでのやりとりで、支援の方向性を尋ねるが、その質問に対して「発達障害は個人差があるので、そのため支援する時間もかかるので」と具代的な支援内容の提示をして頂けず、長期間彼の支援ができていない状況もありましたが、当法人の就労移行支援を受けてからは、「自分はもっと仕事が出来るし、時給600円以上の働きが出来る」と自信を持つようになり、現在行っている作業からステップアップしたいという強い希望も出るようになりました。
彼の想いを優先するため、作業訓練から次の段階である面接や一般就労に向けた就職活動に取り組み始めました。彼自身で電話での面接アポをとるにも長い時間がかかり、電話でのやり取りも黙り込んでしまうこともありました。それでもなんとか面接にたどり着き、その後、彼は何度も何度も面接に落ちながらもめげずに就職活動を続け、ついに、2019年4月に一般企業へ就労が決まりました。現在、初めての仕事で苦労しながらも、真面目に仕事に取り組むことが出来ており、週4日通うことができています。次の目標として、週5日通うことを目指し日々頑張っているところです。

発達障害の支援を専門としている機関では発達障害を持つ方々が社会性を身に付け充実した生活が送れるための支援はできないのだと実感しました。また、過去を遡っても発達障害の方々の支援が成功した例がないように思えました。なぜならば、今回のケースについて助言を求めたとしても当たり障りのない回答ばかりであり、最後には「時間がかかるから」と言うだけでした。本当に支援ができる専門機関であればそのような回答を保護者に対してすることができるのでしょうか?
今回、当法人が彼の障害特性を理解し、不登校の状態から一般就労まで導けたことは他に類を見ない大きな成功です。当法人が他の支援機関が持ち合わせていない支援力を存分に発揮出来たと自負しております。
今後も当法人は様々な障がいを持った方々が充実した生活が送れるよう十分な支援力を発揮し、支援の幅を広げていくことが必要だと考えております。

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